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    • 発信人 西川徹郎・斎藤冬海

      銀河系通信ブログ版 2022年12月23日

      〈異界の戦場PARTⅣ〉
      妹としの〈あめゆじゆ〉とは何か。西川徹郎の宮澤賢治論

      ■妹としの聲無き絶唱
      ──『春と修羅』「永訣の朝」の〈あめゆじゆ〉とは何か

      西川徹郎

       宮沢賢治は偉大な詩人であり、研究者による多数の論考が発表されてきた。だが彼には依然として未解明の問題や謎が多い。大正元年(16歳)父政次郞宛書簡に「歎異抄の第1頁を以て小生の全信仰と致し候」とあり、当時の彼の聞法の有り様が判る。島地大等は本願寺派の高僧だが天台本覚論の論者だった。中古仏教界に嵐の如く起こった天台本覚思想の究明と彼の詩や思想への影響等は未解明だ。7年父宛書簡に「戦争に行きて人を殺すと云ふ事も殺す者も殺さるゝ者も皆等しく法性に御座候」(傍点筆者)と書く殺人肯定の論理は仏教ではない。この「法性」の出所は何か。軍部とも繋がる国柱会の国体主義や日蓮主義の本質を法華経の純粋信仰を求めた彼が何処まで識っていたか。詩集の集題は何故『春と修羅』か。妹としの死は11年11月だ。「修羅」とは殺害のことである。9年彼は花巻界隈を托鉢し、これみよがしにうちわ太鼓を叩いて題目を高唱して廻り、父や周辺を驚かす。政次郞は念仏者として知られた町の名士だが、彼は故意にその尊厳を踏みにじり、身口意(しんくい)を以て父を殺した。修羅は裏切りに縁(よ)り生起する。「恨みの心は修羅となる」(童話「二十六夜」)とは、『涅槃経』(迦葉菩薩品第12)の「未生怨」に拠って彼自身をいう言葉だ。父王頻婆娑羅(ビンバシヤラ)を裏切り殺した仏教史上の修羅、嵐の中の芭蕉樹の如く髪振り乱し慄(おのの)く阿闍世(アジャセ)が彼である。五逆の彼の苦悩は生涯身から離れることはない。
       彼の詩は大海の潮のようだ。海面の潮流と海底のそれとは同一ではない。それらは層の上下の重なりではなく意識下に垂直に相互に交錯し渦巻く。この深遠な詩海に潜む歯を剥く青鮫のような生き物、それが彼の詩に現れた「ひとりの修羅」(「春と修羅」)である。
       「永訣の朝」の「あめゆじゆとてちてけんじや」は、としが死の間際に彼に告げたラストメッセージだ。地方語とされるこの末期の聲「あめゆじゆ」とは何か。このメッセージの究明こそこの詩を本質的に根底から読解する唯一の鍵である。この根本的問題が不問の儘に賢治没後80年が過ぎた。としは彼の父殺しをまのあたりにし国柱会入会前後の苛立つ彼の心奥を知る唯一の肉親だ。行間に4度もリフレーンされるとしの末期の聲が「雨雪」などといった物であるはずはない。「あめゆじゆ」とはアミダの音であり、としと彼が幼少の頃に宮沢家の仏間で父母弟と一緒に称えた念仏のことである。何故ならばアミダとは梵語のアミターバ(Amitābha)无量光とアミタユス(Amitāyus)无量寿の意であり、「あめゆじゆ」とは正しくこのアミタユスに疑いない。アミタユスがとしの息の喘ぎに「あみたゆじゆ」、更には「あめたゆじゆ」となり、それが「あめゆじゆ」と変化した。それ故「あめゆじゆとてちてけんじや」は「あめゆじゆとなえてけんじや」の意であり、末期の息をふり絞ってとしは「兄さん、どうかあの日のお念仏にたち帰って下さい」と懇願した。としのこの末期の聲に父を踏み倒し家を出た彼には応えるすべがない。「まがつたてつぱうだまのやうに」外へ飛び出すほかはなかった。鉄砲玉が曲って飛ぶことはけしてない。それはとしの末期の聲に動揺した彼の異常に屈折した心を喩えたものだ。従って集題の「春」は四季の春ではない。「わたしたちがいつしよにそだつてきたあひだ」と記す如く、イギリス海岸の渚の波の如く彼の胸底に去来する念仏を称えていた幼年の日の宮沢家の陽の差す風光を喩顕した言葉だ。この詩の中で彼は「あめゆじゆ」を敢えて「雨雪」に変換して記録し、秘かに封棺してこの詩海の底に埋め、それを伏蔵としてこの詩集を構成した。つまり彼はこの伏蔵の開棺、即ちこの詩集の真の解読を、「あめゆじゆ」の秘密を感知するであろう未来の未知の読者未知の詩人に秘託したのである。
       かって草野心平は絶賛しつつも「無聲慟哭」の「「ふたつのこころ」の意味が解らぬ」(新潮文庫『無聲慟哭・オホーツク挽歌』解説、昭和28年)と述べた。それはとしの心を内に抱えた彼の現在と過去未来の両極に引き裂かれた心的情況を指す。「心象スケッチ」とはこのとしと彼との切実な悲劇的な心的光景を記録した詩であることの標示に外ならぬ。詩を読むとは表面の語義と行の意味ではなく、字間行間に溢出する詩心の潮流を感得することだ。としの末期の聲には父の我が子への変わらぬ愛憐の念いも含まれている。彼の詩に未だ多くの謎が残されているのは、「永訣の朝」「無聲慟哭」を生者の側からの「死を見守る眼差」(中村稔「序説」昭和26年初出)と捉えてきたことに多くが起因するだろう。彼の詩の本質はそこにはない。死に行くとしの聲にならぬ永訣の絶唱がこの詩の本質なのだ。死生の臨界に在って死に行く者の側から生者を思うひたすらなる絶唱、それが唯一この詩を構成し、その無聲の聲、無聲の慟哭がこの詩集の全編に轟き渡っているのだ。

      2014年3月31日
      岩手県花巻市高松一 宮沢賢治学会イーハトーブセンター発行
      『宮沢賢治学会 イーハトーブセンター会報』第48号

      ■『編集人』より

      斎藤冬海

      『銀河系通信BLOG版』「異界の戦場Ⅳ」の冒頭に掲げた論文「妹としの聲無き絶唱―『春と修羅』「永訣の朝」の〈あめゆじゆ〉とは何か」は、2013年12月宮沢賢治学会イーハトーブセンターより原稿依頼を受けて執筆し、2014年3月31日発行の『宮沢賢治学会 イーハトーブセンター会報』第48号の巻頭に掲載された西川徹郎の書き下ろし宮沢賢治論である。
       この論文は、宮沢賢治研究の先駆的研究者として知られる明治学院大学名誉教授・詩人・仏文学者で「宮沢賢治学会」最高役員の天沢退二郎先生の推挙に由って「宮沢賢治学会」より執筆を依頼されたものと西川徹郎本人は語っている。

       『銀河系通信BLOG版』の発信に当たって、BLOG版発信人として一言付言すれば、『宮沢賢治学会会報』の巻頭に収載されたこの論文は、原稿用紙四枚の分量ながら、今日まで為されてきた数多の宮沢賢治論とは一線を画す視点からの真宗学者・詩人西川徹郎による賢治と賢治論への斬り込みであり、賢治研究史上初めて、妹としの末期の聲〈あめゆじゆ〉を雨雪とする永年の定説を覆し、阿弥陀アミタの梵語Amitāyus(アミタユス)とする驚天動地の新説であり、日本各界を震撼させ、大きな反響を呼んだ。

       西川徹郎記念文學館の学術誌『西川徹郎研究』第三集では、当該論文によって新たな局面を迎えた「宮沢賢治論」の現在を、当代日本の各界の代表的表現者即ち、日本哲学会元会長・日本学術会議哲学委員会元委員長・東北大名誉教授野家啓一、国際日本文化研究センター名誉教授鈴木貞美、東京大名誉教授菅野昭正、東京外語大名誉教授・文学博士沓掛良彦、文芸評論家久保隆、日本比較文学会元会長・作家・武蔵大学名誉教授私市保彦、ランボー全詩集翻訳者・作家・ミュジシャン鈴木創士、日本ペイター協会元会長・愛知大学大学院元教授・英文学者伊藤勳、学術博士・文芸評論家小林孝吉、ノートルダム清心女子大名誉教授・文芸評論家綾目広治、SF作家・医学博士渡辺晋、俳人・文学博士中里麦外、詩人・文芸評論家雨宮慶子、[総括]文學館學芸員・作家・編集人斎藤冬海等、文学・詩歌・思想・哲学・評論等各界の代表的著述者十四名が、各氏の「西川徹郎の宮沢賢治論」への渾身の論評十四編によって開示せんとするものであり、更に西川徹郎自身が本特集の編纂に当たって新たに書き下ろした「荒野の旅人―〈自問の鏡〉としての宮澤賢治、「永訣の朝」の〈あめゆじゆ〉とは何かⅡ」百十枚は、賢治研究史上、初めて賢治を覆う菩薩や聖人(セイジン)と云った聖性の衣裳を剥奪し、彼の生の苦悩と実存の在処を明らかとしたのである。詩人とは如何なる〈生の惨劇〉を生きる存在なのか。西川徹郎即ち西川徹真の「荒野の旅人―〈自問の鏡〉としての宮澤賢治」は、飽く迄も一人の詩人、一人の人間としての宮澤賢治を究明した衝撃の論文と呼ぶほかはない。
       それは諸家の十四篇の精密な宮澤賢治論と共に北天に燦めく一条の〈宮澤賢治銀河系〉である。

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        妹としの〈あめゆじゆ〉とは何か。西川徹郎の宮澤賢治論
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        今期5月1日(日)、AM11時より開館します!
      • 永遠の夭折──少年詩人西川徹郎
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      • 2019年をふりかえって
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