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銀河系通信ブログ版 2025年12月15日
新城峠大學文藝講演会と
極北の詩人西川徹郞学会設立記念会
文學館正面の看板前に立つ
私市保彦先生・由枝夫人令和7年10月5日、極北の山岳都市旭川の市街中心地 旭川市総合庁舎正面の緑道に建つ西川徹郞記念文學館館内を会場に、市川市在住の武蔵大学名誉教授・作家の私市保彦(キサイチ・ヤスヒコ)氏を迎え、第5回西川徹郞記念文學館賞授賞式が開催された。
館長斎藤冬海(サイトウ・フユミ)と共に選考委員を務める私(同館館主西川徹郞)は、氏の評論集『賢治童話の魔術的地図─土俗と想像力』(新曜社刊)を選出した理由を「著者の長きに亘るフランス文学研究を通して培われた豊穣な詩学的知見と透徹した読解力に由り、日本の近代文学が根源とした地方の土着性と近代性の狭間に宮沢賢治の詩や童話に内在する世界性と永遠性へと展開する光源を見出し、世界文学としての宮沢賢治を暁らかに顕現させた」と述べ授賞理由とした。
授賞式に続く新城峠大學記念講演会では、私市氏は「宮沢賢治と西川徹郞─実存詩歌の成立」と題し、宮沢賢治と西川徹郞につながる実存詩歌成立の様相を両者の詩と俳句を掲げつつ講演、西川徹郞記念文學館市民の会会員や一般市民合わせ凡そ五十名の聴衆が熱耳を傾けた。
夫妻で来旭した私市先生と由枝夫人
西川徹郞(左)と斎藤館長(右から二番目)
祝賀会・記念会には全国各地から
多数の関係者が参集した。同日夜は近隣の旭川トーヨーホテルに会場を移し、私市氏の受賞祝賀会並びに私市氏が会長に就任する「極北の詩人西川徹郞学会」の結成記念会が開催され、地元は元より東京、横浜、姫路など全国各地から参会する盛大なイベントとして開催された。
「極北の詩人西川徹郞学会」の代表を務める私西川徹郞は、北海道増毛郡留萌市増毛出身の孤高の文藝評論家小笠原賢二氏の最後の著作『極北の詩精神─西川徹郞論』(2004年茜屋書店)に籠められた遺志たる「極北の詩精神」を継承しつつ〈十七文字の銀河系〉〈十七文字の世界藝術〉と命名した銀河系HAIKU詩を始めとした私の表現としての言語が性起する詩と思想と哲学の本源、その根柢の探究を推進すると共に日本の詩歌藝術・思想哲学の世界的振興を目指す活動へと展開することを希求する。そしてこの夜参会した一人一人がその思いを胸に抱いたと信ずる。小笠原賢二氏は私の文学活動がいつも前衛的で常に前線的故に、孤立しがちな私の活動を身を挺して支えたことを、今改めて思い返すのである。
会場のホテルを最後に出た私は、人通りのなくなった夜の緑道を文學館へ向って一人で歩きながら並木の枝葉の狭間から見える大雪山系の山影に銀河系銀河が大きく延びるように掛かっていることに気づいた。その夜は不思議な程に銀河が眩いほど燦然と輝く夜だった。
その日の夜の燦めく銀河は、私がかって病に倒れた小笠原賢二氏を立川市の邸宅へ見舞った折りに氏が私へ述べた言葉を思い起こさせていた。
《芭蕉の俳諧の本質にあるものは宇宙的なエネルギーではないか。》《あなたの実存俳句には宇宙的ダイナミズムがマグマのようにうねっている。》《「西川文学は芭蕉の宇宙観を更にマクロにして芭蕉をも凌ぐものだ。》
「極北の詩人西川徹郞学会」結成の烈火の如く燃える一夜は、法政大学に勤務していた小笠原氏のかつてのゼミの教子で横浜から参加した那住史郎氏夫妻、琵琶湖の湖水調査船の検査員を務め琵琶湖の湖面に移る銀河を見てきた姫路在住の旅人浅田讓氏、東京支局から来た東北放送TV局幹部職員で若き日に読んだ私の実存俳句の衝撃から自身も俳句を書き始めたディレクター田沼佳之氏、芦別市の市議会議員を務める現役プロレスラーで「芦別修羅の会」の若松市政氏、東京から連れ立って来旭した館長斎藤冬海の日本女子大学時代の友人グループ。この友人グループと共に、私市氏の92歳の誕生日(10月14日)を祝して、フランス語で誕生日の歌(「ハッピーバースディ」)を私市夫人、那住夫人、市民の会役員辻英子・曽我部芳子等が登壇し、斉唱した。その後私市氏に、この夜の参会者全員を代表し辻より花束が贈呈された。彼等彼女等の燦めく声が今も私の耳に聞こえてくる。
極北の山岳都市旭川の夜空に架かった銀河系銀河の耀きとともに歴史的一日は了った。私には私市保彦氏をはじめ今夜この山岳都市に集った一人一人が銀河系銀河の一つ一つの輝く明星の如く感じられたのである。
私市保彦氏の誕生日を祝って斉唱 極北の詩人西川徹郞学会顧問 東北大学名誉教授・日本哲学会元会長で日本学術会議哲学委員会元委員長
野家啓一氏に由る
極北の詩人西川徹郞の詩と文学に対する哲学的考察10月5日、満を期して[極北の詩人西川徹郎学会]が結成され、記念集会が開催された。
当学会は顧問として、野家啓一氏(哲学者・東北大学名誉教授・日本学術会議哲学委員会元委員長、仙台市在住)・角川春樹氏(映画監督・角川春樹事務所社長、東京都在住)・八重樫和裕氏(弁護士・八重樫法律事務所所長、旭川市在住)の三名に御就任を頂いています。又他に参与としては学術博士小林孝𠮷氏・作家河村季里氏等、20名の御就任を頂いています。
当日は、顧問の野家啓一氏は止む無き御都合により御欠席でしたが、かねてより「極北の詩人西川徹郞学会」結成について大きな御激励を頂いております。
ここで野家啓一氏が、KAKENの国立東北大学哲学・倫理学関係の研究組織の代表者として、西川徹郎文学を対象とした研究を行ってきた2021年の報告書を紹介いたします。
この研究全体は、「日本哲学における論理と感情の系譜」と題した、野家氏が研究者代表となり、他十名の東北大学他各大学研究機関の研究分担者により2020年~2024年に亘り行われ、完了したものです。 2021年の研究実績報告書には、概要が次のように述べられています。[極北の詩人西川徹郎学会]の結成に際し、此処ではWebより引用し、皆様にお知らせさせて頂きます。
《本研究の目的は、論理と感情という視点から日本哲学を検討することにより、その多様性と可能性とを明らかにし、かつその成果をひろく世界に発信して日本哲学研究の基礎形成に寄与することにある。本研究では、西田幾多郎や田辺元などのいわゆる京都学派の思想家だけでなく、高橋里美、三宅剛一、阿部次郎など、草創期の東北帝国大学で活躍した人々に着目する。》《野家は、三木清や西田幾多郎にとどまらず、西川徹郎、木村敏、大森荘蔵などについて論じ、日本の文学や哲学について考察を拡げた。》
野家啓一氏の西川徹郎文学論は、「日本哲学における論理と感情の系譜」研究の、2021年の「研究成果(37件)」中、「雑誌論文」として「2021年『物語の哲学』と西川文学(『西川徹郎研究』第二集 ページ32-57)」「2022年 妹としの信仰をめぐって―西川徹郎の宮沢賢治論(『西川徹郎研究』第三集 ページ49-55)」の二論文が掲げられています。
※「極北の詩人西川徹郞学会」の事務局長・館長斎藤冬海は、後日、この結成集会に参加した彼等彼女等に向けて次の如く一通の謝辞を送付した。謹啓 錦秋の候皆様には御清栄にお過ごしの御事と大慶に存じ上げます。
常々西川徹郞記念文學館の活動の為に御協力とお力添えを賜り心より御礼申し上げます。この度は、十月五日旭川市にて開催されました日本比較文学界の第一人者で市川市在住の武蔵大学名誉教授・作家私市保彦先生をお迎えしての第五回新城峠大學(第五回西川徹郞記念文學館賞受賞記念講演会、於西川徹郎記念文學館)及び「第五回西川徹郞記念文學館賞受賞祝賀会」「[極北の詩人西川徹郎学会]結成記念会」(於旭川トーヨーホテル)の開催におきましては西川徹郞記念文學館市民の会役員・会員の皆様、[極北の詩人西川徹郎学会]役員・会員の皆様並びに全国よりお集まり下さった皆様には、多大な御尽力と御協力を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。
皆様のお力に由り、新城峠大學文芸講演会並びに祝賀会・記念会等を盛会裡に終了することが出来ました。西川徹郞記念文學館の館長、此処に深く御礼を申し上げる次第でございます。
この度第五回西川徹郞記念文學館賞を受賞された私市先生は、比較文学界のみならず、日本のフランス文学研究の紛れ無き第一人者でございます。日本の海外文学研究の筆頭の巨人とも謂うべき私市保彦先生に、[極北の詩人西川徹郞学会]の会長に御就任頂くことを記念する集会でもございました。 かくなる上は西川徹郞記念文學館[極北の詩人西川徹郞学会]は、如何なる嵐の中の航海たりと雖も私市保彦先生を揺るぎなき艦長として、愈々北海道増毛郡留萌市増毛出身の孤高の文学者小笠原賢二先生の御遺志たる「極北の文学精神」を継承しつつ「実存俳句」創始者にして〈十七文字の銀河系〉〈十七文字の世界芸術〉を提唱する日本及び東洋を代表する[二十一世紀銀河系HAIKU詩人西川徹郞]の[銀河系HAIKU詩篇]、その言語芸術としての意義、さらには西川徹郞の言語芸術の全作品・青春歌集・詩・エッセイ・評論・眞宗学論文等をも含め、その表現としての言語が性起する詩と思想と哲学の本源、その根柢の探究を推進すると共に西川徹郞研究の精華を海外へ向けて発信し日本の言語芸術・思想哲学の世界的振興を目指す活動を展開して参ります事を此処にあらためて表明し、この度の皆様への衷心よりの御礼とさせて頂きます。
私市保彦先生、そして皆様、本当にありがとうございました。
末筆ながら各位の御健勝を北の地より心よりお念じ申し上げております。謹白
二〇二五年十月十二日
〒070ー0037 旭川市七条八丁目緑道西川徹郞記念文學館通
旭川市総合庁舎正面西川徹郞記念文學館
館長・學藝員[極北の詩人西川徹郞学会]事務局長
斎藤冬海(本名西川裕美子)
※[極北の詩人西川徹郎学会]役員名簿は、当ホームページの[極北の詩人西川徹郎学会]の項を御参照下さい。
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